さて。
平等こそ悪と断言する当代ブリタニア皇帝だが、何もかもが不平等でと思うわけではない。
機会くらいは平等にと、かつて愛した女性に口を酸っぱくして言われた覚えがある。

「……だからって父上」

何で挨拶のための謁見時の護衛を私に回すんですか…。

思わず素でそう呟いたが、皇帝の斜め後ろと言う絶妙な位置により、聞こえることはない。ついでに言えば、彼らからも見えるか見えないかという微妙な位置にある。

さて、乗りきれるか否か。

―――――十分後―――――

「……では、失礼致します」

「うむ。下がれ」

ルルーシュの言葉でユーフェミアとルルーシュが立ち、ユーフェミアがナナリーの車椅子を押して去っていく。

あとは、ノネットが城門まで警備をして終わりだ。

「セブン、警備の通達を」

「かしこまりました。ナインには先程連絡は入れておきましたので、もう準備はできているかと」

「スザク？！」

「！？」

その声にバッと顔をあげると、閉じられる扉の隙間からルルーシュの顔が見える。

「げっ…」

「スザクッ…！」

バタン、と、重苦しい音共に扉が閉まり、沈黙が流れる。

「…フレイ」

「御前失礼致します、皆様方。エイトに連絡をしなければならなくなりましたので…」

「構わん。行け」

「はっ！」

キビキビとした動作で、スザクは去っていく。

しかし内心では冷や汗が出ており物凄く動揺している事を、見抜いたのはほんの数人だけだった。

close△

六話感想を見ていて、意外と言うか嘘だろ？！と思いたくなるような新事実。

兄弟ですか！？だからＥＤの時あぁいう構図なの！？と、かなり取り乱しました。

で、

考えました。そんな関係があるならばこれもありか？と。

よろしければどうぞ。

「Ｃ．Ｃ．と言う名前を聞いても…僕には、俺にはわからなかった。当然だ。それは貴女の名前じゃない…」

銃を下ろして穏やかに話始めたスザクに、誰もが目を見開いた。スザクの後ろではトリスタンから危ないから戻れと怒号が聞こえ、何故こんな事態になっているのかと黒の騎士団の者達は呆然としていた。

彼女はゼロの愛人。それが自分達の中での位置付け。

しかし、そのゼロも言葉もなく固まっている。

スザクと相対しているのはＣ．Ｃ．ただ一人だった。

「一年前に貴女を見た時も…わからなかった。当たり前かもしれないけど、それが今はとても悔しい」

足音が聞こえてふと幾人かが視線を向けると、そこにいたのは神楽耶だった。

走ってきたのだろう。息を切らしている。

「スザ、ク…兄様……」

よろよろと神楽耶が寄ってきて、スザクの傍らに座り込む。それをスザクは落ち着かせるように背を叩きながらも、視線はＣ．Ｃ．へと向いていた。

「どうして…ゼロの隣にいるんですか…それほどまでにその男が大切ですか、守りたいんですか？！」

俺達ではなくて！

吐き捨てるかのように言うその言葉は、見棄てられて寂しいとわめく子供のそれで、

泣きそうな神楽耶の瞳は愛情を欲するそれだった。

「ブリタニアにいれば、日本にいれば！貴女に会えるかもしれないと、見つけるかもしれないと…！」

「その為に私は皇家に残り、兄様はブリタニアに行ったのに…！」

貴女は魔女として、魔神と契約してしまった。

神楽耶はあの時、ゼロを見ながら意識はＣ．Ｃ．に向いていた。

シンジュク事変のさいに似たような人を見た。

そうスザクから秘密裏に連絡を受け、確めに行ったのだ。兄の代わりに確かめられるのは、自分だけだと。

顔を覚えてはいない。声も、その温もりも。名前だけは、兄が教えてくれたけれど。

でも、会えばわかる。そして確信したのだ。やっと会えたと。

でも、あの人は隣に違う男をおいていた。

「どういう事だ…Ｃ．Ｃ．…」

ゼロが困惑しながらも声を絞り出すが、Ｃ．Ｃ．はただスザク達だけを見ていた。

「おい、Ｃ．Ｃ．！」

「……頼む、ゼロ。少しだけ…黙っていてくれ」

やっと聞いたＣ．Ｃ．の言葉は、懇願するような声音だった。

「Ｃ．Ｃ．…」

「…私は、忘れた事などなかった。お前達の存在も、名も…姿は、昔のまま止まってしまっているが…」

「…それでも、ゼロが大切ですか。契約者だから？！共犯者だからですか！」

未だ息が整っていない神楽耶も、叫んだスザクと同じような目をしている。

「それほどまでに…その男が…大切ですかっ……！母上…！」

悲しみに彩られ孤独の中寄り添うように叫ぶその姿は哀れで、つらそうに瞑目して首を横に振るＣ．Ｃ．は辛そうに見えた。

その叫びに、誰もが時と状況を忘れ、呆然とした。

close△