もはや、自分の書く小説は世界設定とキャラを借りた創作の様な気がビシバシとする今日この頃です・・・。
さて、止める人間がいなかったためにトリスタンとモルドレッドにボロ負けした惨状で、周りから白い目で見られる形となったジノとアーニャは、二人で自機であるナイトメアの足下にいた。
「スザク、いない…」
「足怪我してんだぞ?心配してんのは分かるけどさ…」
一人でさっさとエリア11に行った同僚のスザクを追いかけてきたはいいが、これではスザクに会うより先に本国のベアトリスから説教を喰らうはめになりそうだ。
「はぁ…どうしようか?とりあ」
「何ですか、この惨状は!?」
とりあえず着替えに行くか、とアーニャに提案しかけた時、少しばかり離れたところ、ジノ達と破壊されたナイトメア等も見渡せる、嫌な暗い素晴らしい位置に仁王立ちしている影があった。
「…げ、」
ジノとアーニャはこれから落ちる雷のために。グランストンナイツ達はどうして(どうやって?)ここへと。その他の面々はこの人は誰だ?と。
それぞれの思いを胸にその影の主を見た。
「な…どうやって、」
「っの……ど阿呆がぁ!」
「うっ…わぁ!」
飛び膝蹴り(上段)がジノに炸裂。アーニャ、既に後退。ジノ、3mほど移動。周囲、沈黙。
「どれだけ暴れているんです!黒の騎士団に情報が漏れたら一発で攻め込まれていますよ。全く!大体、着任の挨拶がわりに攻撃するとはなんたる礼儀ですか!」
「え、いや…あの……ごめんなさい」
今まで悪びれもしなかったナイト・オブ・スリーが謝った。少女の見事な飛び膝蹴りよりもそちらの方が衝撃である。
「この件はワンと陛下、『ついでに』ベアトリスにも『直接』報告させてもらいます!今から通信すれば、時差的に問題ないでしょうしね!」
「えぇ!?」
予想外かつ最悪である。よりによって今から。
「待ってくれ、スザク!」
「うるさい!大体、こちらに来るなんて一言も聞いていませんよ!今すぐにでも聞かなければ…!あぁ、もう!だらだらと無駄口叩く暇があったらトリスタンで残骸除去作業を手伝いなさい!『ついでに』、貴方が壊したナイトメアの修理代(弁償代金)として、修理費の30%、払ってもらいますからね!」
「えぇ!?」
矛先は完全にジノに向けられている。アーニャはやってきたアーサーと再会中だ。
「黙りなさい!全く、何だって……っ!!」
「枢木卿!」
ジノは呆然としていた。
多分誰かに遊ばれて着させられたのであろう白のワンピース。
それと同色のはずの足に巻かれた包帯に、僅かにとは言えないほどだが血が滲んでいる。
「スザク…」
「どういう馬鹿力でここまでいらしたんです?!傷口が開きかけていますよ!すぐに…」
医師を、と言いかけた言葉は、スザクの手によって制された。
「……言い訳も謝罪も、そちらからの報告も後からにしましょう。ですが、本国、陛下並びにベアトリス・ファランクス卿への報告は二人で行ってください。……良いですね?」
「……」
「わかった。陛下とベアトリスにはちゃんと報告する」
答えたのはアーニャだった。腕に抱いていたアーサーがその腕からすり抜け、スザクの足に絡む。
「……よろしくお願いします」
慌ただしく用意された車椅子に乗せられて去ると、沈黙が流れた。色々な意味で。
「…スザク、傷が開いたの、私達のせい」
「…あぁ、わかってるよ」
精神力の強さか、走ってきた上に蹴りまで入れてきたスザクに、ジノは一瞬だが、スザクが怪我人だと言うことを忘れていた。
グランストンナイツの叫ぶような声に、やっと現状を理解したのである。
「…だから、ベアトリスに怒られるの、当たり前。陛下と……ナナリー殿下にも」
ナナリーはともかく、他の二人はそうは見えないがよくよく考えればスザクをいつの間にか気遣ってくれている。それを抜きとしても、未だ傷の癒えないナイト・オブ・セブンに無理をさせたとあっては説教は確実である。
「……ジノ?」
「…」
しかし、ジノにとってはそんな説教より、スザクに無理をさせたことにすぐに気づけなかった事が悔しかった。