2008/03/27 19:58:27
担任を持ってくれた人はいませんが、教科を持ってくれた人はいます。
退職される先生も一人。
花を持っていくことはしませんが、何か言葉をかけた方がいいんだろうなぁ・・・と、考え中。
退職される先生も一人。
花を持っていくことはしませんが、何か言葉をかけた方がいいんだろうなぁ・・・と、考え中。
「突然だが、来週より皇宮に客人が来る」
ラウンズ全員が静かに耳を傾ける。シュナイゼルは若干疲れているらしく、声からは疲労の度合いがありありと感じられた。
「客人…」
「あぁ。人数は三人。その内の一人が色々と厄介なんだ」
その言葉に、フレイヤがいぶかしむように声を上げた。
「入らせない。という選択肢はないのですか?いくら客人と言えど…」
誰もがそう考えた故に頷くが、シュナイゼルは疲れきった笑みを浮かべる。
…こう言ってはなんだが、やつれているようにも見える。
「それがそうもいかなくてね…。その人物は付き添いなんだが、陛下への謁見も正式に決まっている。無理なんだ」
「………付き添い?」
カレンが反応したのはそこだった。
「そうだ…。妹の付き添いで」
ガタンッという音がしてそちらを見ると、フレイヤとカレンが揃って椅子を倒して立ち上がっていた。
「どうかしたのか?心当たりが」
「シュナイゼル殿下。まさか私に会えとは言いませんよね?」
流石というかなんと言うか、理解が速すぎる。同様の事を目で問うカレンも視界に入れ、シュナイゼルは感嘆した。
「…シュナイゼル、宰相閣下?」
厳かに、背に確実に何かを背負ってフレイヤが問うと、シュナイゼルはしばしの沈黙の後、口を開いた。
「カレンはともかく、君がラウンズにいるのは軍内でも有名だ。ユフィーが話してしまったらしくてね…すまないが、『柩木スザク』として彼らの前に立ってほしいと…」
ふらっと後方にフレイヤの体が傾き、たたらを踏む。何だか顔色が悪い。
「……『俺』に、拒否権は」
「…悪いがない。これでも君達に話さず一月粘ったんだが…」
「それはこっちが任務を入れてトンズラしないようにって意味の粘りだろうが!俺は絶対に会いたくない!」
「そういう訳にもいかないだろう。君が一番親しいんだから」
「断固拒否するっ!」
ギャーギャーと言いあいをし始めたフレイヤとシュナイゼルを見て、ジノはスッとカレンの横に移動した。
「おい、何なんだ?」
カレンは立ったまま硬直していたが、肩を数回叩くとハッとこちらを向き、椅子を起こして勢いよく座る。
「悪い癖よ…。『柩木スザク』だった、男として生活してた時の口調がたまに出るの。しかも最悪な事に乱暴粗暴な口調でね。戦闘で予定通り行かない時なんかあの口調でビシバシ部下とか叱りつけて馬車馬のように働かせるから、皆あれを『黒スザク』とまで呼んでたりするわ…。後で謝るんだけど」
しかもそうなると任務効率が上がるから悲しい。お詫びと言わんばかりにアヴァロンで帰還中に度々繰り返される宴会は、もうほとんど恒例化している。しかも謝られた側はまた叱られると知っていて謝罪は受け入れるが、改善はしない。
「うちはあれが現れたら任務終了一時間前よ。それを破って記録達成した敵はいないわ」
「…へぇ」
新たな一面である。迫力も殺気も一級品だから余計に怖い。まるで戦場にでも立っているかのようだ。
「大体!こういう場合は任務にでも出して会わないように心を砕くのが普通だろう!それをいきなりか!?ふざけんな。俺達の心中を少しは察しろ!」
「そうは言われても仕方がないんだよ。君がいる事は誰もが知ってる。別に『フレイヤ・ジル・ブリタニア』として会えと言っているんじゃないんだ。『柩木スザク』として…」
ヒュッと風を斬る音と共に、フレイヤの拳がシュナイゼルの頬を掠めた。
ラウンズ達からフレイヤの顔はうかがえないが…黙らせる為にとは言え、もし当たっていたら痛いじゃすまない。よく見ると、シュナイゼルの後方にある花瓶が倒れていた。拳圧、とでも言うべきなのだろうか。水が滴り落ちる。
「……………分かった。会う」
「…フレ」
「ただし、俺は自分から会いに行く事はしない。あちらからの面会要請にも一切応えない。陛下や、例え貴方が仲介に入ろうがだ。会って相手をしなければならなくなった場合のみ許容する。………失礼」
逃げるように部屋を出ていったフレイヤをカレンが追い、室内には静寂が訪れる。
「殿下。血が…」
トゥエルブが気づいて指摘したそこは、シュナイゼルの右肩。血がにじんでいる。重い皇族服の上着は脱いでいたから、もしや当たっていたのだろうか。恐るべきフレイヤの拳。
誰もがそう思った中、シュナイゼルは苦笑して否定した。
「違うよ。これは…あの子の血だ。手を強く握りすぎて爪が食い込んだんだろう。私の血ではないよ」
悔しくて哀しくて怒りで一杯で。そんな瞳をしていた。彼女には今でも、癒す事のできない傷がある。
「殿下、おいでになるのは…」
「……亡きマリアンヌ皇妃のお子である、ルルーシュ・ランペルージとナナリー・ランペルージ、そしてユーフェミアだ。ルルーシュとユーフェミアは正式に皇位継承権を放棄している。ナナリーは今回目と足の治療と…正式に、皇位継承権の返上でこちらに来る」
先程の話からすると、問題なのは兄のルルーシュであるという事か。
そう判断して、しかし何故?と考えていると、シュナイゼルから思いもよらなかった言葉が出た。
「ややこしい事に、三人はスザクがフレイヤである事を覚えていないし、私達も教えてはいないんだ…。ついでに言えばユフィーはスザクの事をとても気に入っていてね…ルルーシュは、スザクがナナリーと結婚してくれればと思っているらしく、その上もしスザクが女だったら自分の嫁にするとまでいったらしい…」
まさしく、一難去ってまた一難。
まさか、知らないとは言え己の姉に恋をするとは。
「…そういえば、ヴァインベルグ卿」
「はい?」
「君は行かなくても良いのかい?あの子の後を追わなくても?」
その突然の言葉に思考をたっぷり十秒考えたジノは、その後慌てて部屋を飛び出した。
「……閣下、それでは」
「あぁ、フレイヤに先を越されたがお前達にも協力してほしい。陛下からも言われているからね。フレイヤとあの子達が顔を合わせないように…もちろん、カレンも同様だ」
ラウンズ全員が静かに耳を傾ける。シュナイゼルは若干疲れているらしく、声からは疲労の度合いがありありと感じられた。
「客人…」
「あぁ。人数は三人。その内の一人が色々と厄介なんだ」
その言葉に、フレイヤがいぶかしむように声を上げた。
「入らせない。という選択肢はないのですか?いくら客人と言えど…」
誰もがそう考えた故に頷くが、シュナイゼルは疲れきった笑みを浮かべる。
…こう言ってはなんだが、やつれているようにも見える。
「それがそうもいかなくてね…。その人物は付き添いなんだが、陛下への謁見も正式に決まっている。無理なんだ」
「………付き添い?」
カレンが反応したのはそこだった。
「そうだ…。妹の付き添いで」
ガタンッという音がしてそちらを見ると、フレイヤとカレンが揃って椅子を倒して立ち上がっていた。
「どうかしたのか?心当たりが」
「シュナイゼル殿下。まさか私に会えとは言いませんよね?」
流石というかなんと言うか、理解が速すぎる。同様の事を目で問うカレンも視界に入れ、シュナイゼルは感嘆した。
「…シュナイゼル、宰相閣下?」
厳かに、背に確実に何かを背負ってフレイヤが問うと、シュナイゼルはしばしの沈黙の後、口を開いた。
「カレンはともかく、君がラウンズにいるのは軍内でも有名だ。ユフィーが話してしまったらしくてね…すまないが、『柩木スザク』として彼らの前に立ってほしいと…」
ふらっと後方にフレイヤの体が傾き、たたらを踏む。何だか顔色が悪い。
「……『俺』に、拒否権は」
「…悪いがない。これでも君達に話さず一月粘ったんだが…」
「それはこっちが任務を入れてトンズラしないようにって意味の粘りだろうが!俺は絶対に会いたくない!」
「そういう訳にもいかないだろう。君が一番親しいんだから」
「断固拒否するっ!」
ギャーギャーと言いあいをし始めたフレイヤとシュナイゼルを見て、ジノはスッとカレンの横に移動した。
「おい、何なんだ?」
カレンは立ったまま硬直していたが、肩を数回叩くとハッとこちらを向き、椅子を起こして勢いよく座る。
「悪い癖よ…。『柩木スザク』だった、男として生活してた時の口調がたまに出るの。しかも最悪な事に乱暴粗暴な口調でね。戦闘で予定通り行かない時なんかあの口調でビシバシ部下とか叱りつけて馬車馬のように働かせるから、皆あれを『黒スザク』とまで呼んでたりするわ…。後で謝るんだけど」
しかもそうなると任務効率が上がるから悲しい。お詫びと言わんばかりにアヴァロンで帰還中に度々繰り返される宴会は、もうほとんど恒例化している。しかも謝られた側はまた叱られると知っていて謝罪は受け入れるが、改善はしない。
「うちはあれが現れたら任務終了一時間前よ。それを破って記録達成した敵はいないわ」
「…へぇ」
新たな一面である。迫力も殺気も一級品だから余計に怖い。まるで戦場にでも立っているかのようだ。
「大体!こういう場合は任務にでも出して会わないように心を砕くのが普通だろう!それをいきなりか!?ふざけんな。俺達の心中を少しは察しろ!」
「そうは言われても仕方がないんだよ。君がいる事は誰もが知ってる。別に『フレイヤ・ジル・ブリタニア』として会えと言っているんじゃないんだ。『柩木スザク』として…」
ヒュッと風を斬る音と共に、フレイヤの拳がシュナイゼルの頬を掠めた。
ラウンズ達からフレイヤの顔はうかがえないが…黙らせる為にとは言え、もし当たっていたら痛いじゃすまない。よく見ると、シュナイゼルの後方にある花瓶が倒れていた。拳圧、とでも言うべきなのだろうか。水が滴り落ちる。
「……………分かった。会う」
「…フレ」
「ただし、俺は自分から会いに行く事はしない。あちらからの面会要請にも一切応えない。陛下や、例え貴方が仲介に入ろうがだ。会って相手をしなければならなくなった場合のみ許容する。………失礼」
逃げるように部屋を出ていったフレイヤをカレンが追い、室内には静寂が訪れる。
「殿下。血が…」
トゥエルブが気づいて指摘したそこは、シュナイゼルの右肩。血がにじんでいる。重い皇族服の上着は脱いでいたから、もしや当たっていたのだろうか。恐るべきフレイヤの拳。
誰もがそう思った中、シュナイゼルは苦笑して否定した。
「違うよ。これは…あの子の血だ。手を強く握りすぎて爪が食い込んだんだろう。私の血ではないよ」
悔しくて哀しくて怒りで一杯で。そんな瞳をしていた。彼女には今でも、癒す事のできない傷がある。
「殿下、おいでになるのは…」
「……亡きマリアンヌ皇妃のお子である、ルルーシュ・ランペルージとナナリー・ランペルージ、そしてユーフェミアだ。ルルーシュとユーフェミアは正式に皇位継承権を放棄している。ナナリーは今回目と足の治療と…正式に、皇位継承権の返上でこちらに来る」
先程の話からすると、問題なのは兄のルルーシュであるという事か。
そう判断して、しかし何故?と考えていると、シュナイゼルから思いもよらなかった言葉が出た。
「ややこしい事に、三人はスザクがフレイヤである事を覚えていないし、私達も教えてはいないんだ…。ついでに言えばユフィーはスザクの事をとても気に入っていてね…ルルーシュは、スザクがナナリーと結婚してくれればと思っているらしく、その上もしスザクが女だったら自分の嫁にするとまでいったらしい…」
まさしく、一難去ってまた一難。
まさか、知らないとは言え己の姉に恋をするとは。
「…そういえば、ヴァインベルグ卿」
「はい?」
「君は行かなくても良いのかい?あの子の後を追わなくても?」
その突然の言葉に思考をたっぷり十秒考えたジノは、その後慌てて部屋を飛び出した。
「……閣下、それでは」
「あぁ、フレイヤに先を越されたがお前達にも協力してほしい。陛下からも言われているからね。フレイヤとあの子達が顔を合わせないように…もちろん、カレンも同様だ」
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