2025 / 03 |
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クスクスと、少しだけ穏やかな笑い声が響く。
「笑い事じゃありません!折角楽しみにしていたのに…」
「すみません、枢木卿。あの子との言い争いが微笑ましくて…」
その言葉に、ふてくされたように視線をそらす。すると、再び笑い声が上がった。
「……あのですね、」
「カレン…あの子の誤解も解かなければ。私達を救ったのは貴女だと」
「救ったって…貴女方の保護を決めたのはシュタットフェルトです。私は連れていっただけ」
一年前、ブラックリベリオン時の混乱において危険となったリフレイン犠牲者達を、スザクは極秘裏に引き取り、エリア11の中でも特に静かな山奥の屋敷に住まわせた。もちろん、皇帝からリフレインに対する治療過程のデータ採りと言う建前をいただいてだ。
治療が完了した者達は自分が望む場へと戻っていった。そこで問題になったのが彼女、紅月深雪だった。
彼女はシュタットフェルト家の次期当主。と何時の間にやら現当主(父親)にはめられた形でなっていたらしいナオトと、行方のわからないテロリスト、カレンの母だ。
カレンは無理だから、とりあえずナオトにだけは会わせて、後は本人に考えさせようと考えていたスザクは、深雪を本国へ連れていった。
しかし、
「ですが、住む場所に加えて、働く場まで下さいました」
シュタットフェルト家の当主が何処から聞き付けたのか親子の感動の再会シーンにいきなり登場してきて、『深雪がしっかりと生活できるように手配したい』とスザクに協力を申し出てきたのだ。
どうやら、リフレインにまで手を伸ばすほど酷い精神状態だった原因は自分だと責めているらしく、自分の妻とはできないがナオトがハーフなのは周知の事実だから、せめて親子でいられるようにと言ってきたのだ。
「……セシルさんに正しい日本食を教えてもらって、今度、皆で食べよう。キャメロットで、息子さんと働きませんか?」
………その成果か、日本食の誤った認識は取り払われつつある。
乱入者によって、辿るはずだった道は再びその進路を変える。