2025 / 03 |
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コメント、ありがとうございます。楽しんでいただけたようで嬉しいです。天子の動かし方がまだ良くわからないので、たきつけ役も用意しました。ゼロはいつでも可愛い妹のサポーターです。それ故に周りに不審がられていますが・・・。
後編、色々と怒涛の展開になっている気もしますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
「天子…いけませんよ。軽々しく公に出ては」
「朱仁様…」
周りには大宦官はいない。三人だけのお茶会。
「星刻も…『朱仁は死んだ』と言う公式発表をどうして信じてくれなかったんですか…」
「飾りになれない有能さを持つゆえに疎まれ、親王でありながら婿に出された人間には言われたくはないな」
「…」
『枢木宮朱雀朱仁』。
それは今から十年前、心臓病によって死んだ、とされていた日本の次の王とされた者の名だった。
「ブリタニア皇帝は…」
「自分が八歳の時に、外交の場で二、三度お会いしましたね。一年前にお会いして、私だとわかったようでした」
『俺』と言うスザクは、ブリタニアから来た二人の子供の為に在った。
『僕』と言うスザクは、罪を犯した今の自分の為に在る。
ならば『私』は?
「お会いできて、お話しできて嬉しいです。朱仁様」
「ゼロを領事館に入れたのはお前と再会する切っ掛けとなったことで不問だな。大宦官のあのような顔は久しぶりだ」
茶器を鳴らす。
再会を祝う。
「…やはり、『幼馴染』とか『親友』っていうのは、君達みたいなことを言うのでしょうか」
友であり、未来の主従。
兄妹のようでありながらも、婚約者。
「お帰りなさいませ、朱仁様」
「…お帰り」
その言葉に、スザクは…朱仁は苦笑した。
「私は今、一応ブリタニアの人間ですよ…?」
「何だったの……?」
嵐のように過ぎ去った三人を見て、カレンが呟く。
すると、神楽耶が悔しげに叫んだ。
「あぁ、もう!折角隠してきたのにこれじゃあ水の泡じゃない!白を切りなさいよ、お兄様のバカ!」
「か、神楽耶さん…?」
九年前に交流のあるナナリーだけが、かろうじて問いかける。
「あの方は…」
「中華連邦の主、天子様ですわ!ナナリー、貴女、ボケッとしているとお兄様をとられますわよ?開き直ったお兄様なら、ブリタニア皇帝に連絡をとって戸籍の削除と復活くらいしそうですもの!」
「戸籍の…?」
ゼロの呟きに、神楽耶が満面の笑顔で応じる。全くもって素晴らしい身代わりの早さだ。
「どういうことですかな?」
「あら、ゼロ様ともあろう方が何も知らなかったんですのね?私は皇家ですが、本当の名は皇宮神楽耶咲子、と申しますのよ?それで昔はサクヤと呼ばれた時期がありましたわ。お兄様も同じです。枢木の家にいただけで、お兄様の真名は枢木宮朱雀朱仁。日本が誇る親王殿下だったんですのよ?…まぁ、体力バカのきらいも多々ありましたけれど」
そして、カツカツとナナリーの前に立つ。
既に周りの事などお構いなしである。
「中華連邦の天子様は、朱仁お兄様の婚約者です!奪われますわよ、バレた今なら婚約者にだってできるのに!」
「…おや、解消されたのではなかったのかい?」
スザクが朱仁だと知っていたシュナイゼルは、スザクが以前『うやむやのまま自然消滅かな…』と言っていたのを覚えていた。大体、日本がなくなった時点で……
「あら、続行中です!中華連邦からもこちらからも婚約解消はしていませんし、去年、確かめましたらそのままでしたもの!」
ナナリーの肩が揺れる。それを自然な形で支え、ゼロ…否、ルルーシュはスザクに同情した。
シュナイゼルの口ぶりからしてスザクは自然消滅したと思っているのだろう。
同時刻、朱仁もまた、同じような事実を突きつけられていた。
「…え、そうだったんですか?」
肯定する二人の笑顔に、固まりながら。