2025 / 03 |
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夜の学園は、昼の喧騒が嘘と思えるほどに静かで。
何処か別世界に感じられた。
ゼロがルルーシュならば、既に機情は落とされている。
ここで自分は、良くも悪くも一人だ。
まぁ、それでも大丈夫だろう。
………そう、思っていたのに。
どうしてこう、イレギュラーが発生するのか。
それは数日前の件からだと、スザクは自覚していた。
「…よし。これで大丈夫かな」
昼にこの姿というのも緊張する。しかし、悪くはない。どちらかというとワクワ
クとした感じだ。
「じゃあ、アーサー。行ってくるね。あまりうろつかないようにね」
こちらの姿より本来の姿の方がお気に召しているアーサーは、返事もせずこちら
を見ているだけだ。しかし、瞳の色が感情を写す。
「…無理はしないよ。このエリアじゃ、怪我のことなんて報道されてないけど…
知ってる人はいるから」
機情は知らない。
知っているなら、政庁のグランストンナイツくらいだ。
そこでやっと返事をするアーサー。
何となくホッとする。猫に了承を得なければダメなラウンズなど情けないが。
「…じゃ、行ってきますね。速めに帰ってきますから…」
「へぇ……男装なんかしてどちらへ?く・る・る・ぎ・卿?」
ビキッ
そんな擬音が似合うように、スザクの動きが止まる。
そろりそろりと声がした後ろを振り向くと、そこにはキャメロットとは少しだけ
造りが違う服装をした、一人の青年の姿があった。
「ナ…何でここに…」
「俺は貴女の主治医です。黙って行かれては流石に…ねぇ…?」
笑みが怖い。
そろそろと後退するが、意味のないことだと理解している。案の定、
「動くな!傷に響く!目が見えてないのに見えてるように振る舞えるのは凄いが
、頼むから俺の心配を増やさないでくれ!」
「わっ…!」
言葉の勢いとは裏腹な優しさで抱き上げられ、ベットの端に座らされる。
…しかも、子供抱き。
「ちょっと、学校に…!」
「俺が先回りして連絡した!新総督就任に辺り、総督は枢木卿に、騎士として全
幅の信頼をおいている。総督の人事は機密なので教えられないが、この急な人事
により、枢木スザクの復学を見送らせてほしいってな!母さんも俺と一緒に来て
る。着替えして大人しくしてろ!無理してないか、見るからな!」
長台詞をものともせずに言いきる。
普通ならば拍手でもするが、いかんせん、最近の力関係はこちらの方が下だった
。
「ナオト…!」
「これ以上、俺の預かり知らないところで無茶するなら、主治医として陛下に上
申するぞ、スザク!」
最終兵器。
色々な事情を知る副官兼主治医の言葉に、スザクはがくりと項垂れた。