京都には古く歴史を感じさせる建造物が数多ある。

それは寺であったり神社であったり、はたまた石畳の坂道などであったりもするのだが。

その中でも未だに人が生活し、建物の歴史と共に人の歴史も紡ぐものがある。

京都でも、否、日本、世界でも有数の財閥―――――碇財閥。

「いい建物だね。時代の、歴史の証明だよ」

「そうだね…。さ、行こう。碇老が…お待ちのはずさ」

強面のSP達に前後左右を固められながらも全く動じない子供に、流石にひきつった笑いを浮かべながらも、ハジメは父に会わせるのは間違いかもしれないと、今更ながらに感じたりしていた。

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その子供達から碇の当主、碇ソウイチロウに手渡されたのは、一つの手紙だった。

手紙と言うには分厚く、何が書かれてあるのかソウイチロウは読み進めるほど体を震わせており、その表情は伺い知れない。

「父さ…や、当主…？」

ハジメが恐る恐る近づくが、返事をしてくれない上になんだか恐いオーラが父を囲んでいる。

その一方で子供達はニコニコとしているのだから、全くもって大物である。

「…これは、真か？」

「お疑いでしたら筆跡鑑定でも何でもどうぞ。手書きですから調べ放題でしょうし。指紋だってあるでしょうから」

子供の片割れがにこにこと笑いながらそう言った。

「貴方と縁深い方なのですから」

もう片方の子供も、微笑みながらそう言った。

その微笑みは、子供が浮かべるような無邪気で、太陽のようなそれではなかった。どちらかと言えば慈愛に満ちた月のような笑顔。

その笑みに、ソウイチロウは覚悟を決めたように頷いた。

「今すぐ返事を書こう…。しばらく、待っていてもらえるか」

「「わかりました」」

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「行ってきましたよ。手紙、渡しに」

「かなり半信半疑だったけど受け取ってくれたよ。まぁ、手書きであそこまで書いたんだ。最後はしっかり信じてくれたよ」

暗闇のような雰囲気のその場所で、子供達はにこにこと、その人物に話していた。

不気味とも、無機質とも言える空間にさえ、子供達は怯えない。

「……そうか」

子供達の声に応える声もまた、その闇に怯えは見えなかった。

「あと、13年…。やるべきことは多い。こちらは表立って動けないが…大丈夫か」

「ご心配なく」

「何かあったら頼らせてはもらうけど、頑張るよ」

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