2025 / 03 |
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「うぅ~…」
「あったまいてぇ…」
「み…ず~…」
なさけな……
ノネットはこの状況をどう報告すべきか迷っていた。
「食あたり…いや、正直に二日酔いか…」
まさに死屍累々。
ソファに顔からうずめている者・机に突っ伏す者・水を求め、手を伸ばしながら力尽きる寸前の者と様々だが、原因だけは理解していた。昨夜の呑み比べによる二日酔いである。
「まったく…フレイヤ、あんたまで情けないねぇ。普段安酒しか飲んでないからじゃないかい?」
「だって…呑み比べで勝負だって~」
仰向けに体勢を変えたフレイヤは、ノネットからの言葉に苦しげに返す。
「というか、今はスザク……」
「あんた達も!女に負けたくないからってムキになって呑みすぎるんじゃないよ!」
「いや、だって……」
「スザクが強すぎんだろ~が…」
呑み比べをしたレオギスと場の流れで参加したジノは既に旅立ちそうな気配。
「まったく…いくら負けるのが嫌だったからって…」
「は、はは……しょ~り~………」
スザクも最早立派な二日酔いの症状で呂律がまわっていない。ノネットは本当に、この状況をどう報告すべきか悩んでいた。
しかし、次の瞬間スザクがガバリと跳ね起きてマントを羽織り、服を整えて書類を手にとった。
「うわっ、どうかしたか?」
「この間の戦闘における被害状況と軍人達の労災申請、一括で頼めるのは今日からだった。ついでにアーニャが行ってる地域の戦闘状況聞いてくる。じゃ」
そう言って、スザクは窓に足をかけながらこちらに敬礼のような仕草をし、次の瞬間危なげなく飛び降りた。
あれの最早人間じゃない運動能力はわかっているので、覗き込む事はしない。
……否、覗き込む事は出来なかった。
「スザクはおりますか?!」
破天荒なのか天真爛漫なのかわからない、少女の乱入によって。
「…ふつう、『今日から』じゃなくて『今日まで』…だよな…」
ジノのポツリと呟いた一言は、誰にも聞こえなかった。
「危なかったな……」
こちらに駆け寄ってくる、明らかに通常部屋を訪れない人間の気配に、咄嗟に逃げて正解だった。まさかユーフェミアが来るとは。
「どうやったんだか…」
まったく検討がつかない。
……しかし、
「まずは降りないと…」
地面に着地は出来ないだろうと木に引っ掛かったのだが、思っていたよりも間抜けな格好だ。
労災申請はしっかり降りたかを確認しに行かなければいけないから、あぁ言った手前向かおう。アーニャの方も、結構近場だから今日中には帰ってくるかもしれない。
「…頭痛い…」
とりあえず、やっぱりお酒は二十歳から。
そうしっかりと心に決めたスザクだった。