2025 / 03 |
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「…あぁ、やはり、君だったんだね。『 』」
ゼロが艦内に潜入したと言う連絡を受け、総督抹殺が目的ではないと確信し、同時にゼロが誰であるかも理解した。
あぁ、やはり、君は戻ってきた。
「……応答を願います。オペレーションNo.9、発動。『ヒメミヤ』を迎えるために、戦線を離脱します」
皇帝との通信で命じられた、新たなる命を果たすために。
『騎士として剣のように盾のように在れ』
思い出したその言葉に、スザクは小さく了承した。
「…イエス。マイ…マジェスティ」
「クソッ…!脱出した後か。カレン!私も脱出する。待機していてくれ」
『わかりました』
一足も二足も遅かったゼロは、誰もいない庭園に舌打ちした。
黒の騎士団がナナリーを、新総督を狙ってきたのだとわかっての対処だろう。
戦闘指揮と違ってもう一人、伏兵と言える参謀がいるようだ。
「ナナリーは、必ず取り戻す……!」
「……カレンがいるのか」
目の前を飛び交うナイトメア達を前に、ナオトがポツリと呟いた。
「こんな状況じゃあなかったら、生け捕りしたいって進言するけどなぁ…」
自分がいるのはアヴァロンのブリッジで、ナイトメアに乗っているわけではない。そもそも自分はナイトメアを操るのは苦手で、使うのは戦闘機。後は後ろで戦闘指揮をしたりするだけだ。
「…ロイド伯爵。撤退準備を。総督は移りました。でかい花火であちらの戦力を削ります」
「りょ~かい。セシルくん、どう?」
「問題ありません。でも、あの…」
「あぁ、全ナイトメアへの暗号通信もお願いします。ラウンズのお二人に撤退指揮を」
さて。
「じゃあ、カレン…また」
そう言い残して、ナオトはブリッジから不安な顔をしているであろう母親の元へと歩き出した。
「撤退…ね。了解!私が殿を務める。全員退避!」
『スザク!?』
「……あ、ジノ?来てたんですか」
がむしゃらに戦っていたスザクは、通信によって初めて敵以外のものを認識した。トリスタンやモルドレッドがかなり暴れていたのに、である。
『ひっど!気づかなかったのかよ!』
「すみませんが、集中していたので全く。ランスロット以外のナイトメアは初めてなので、使い勝手が違うんです、よ!」
それってある意味凄いよな。と、ぼやきながらもジノはスザクのナイトメアを探す。
………どれかわからない。
『ジノ、とりあえず撤退を…。っ!』
「スザク!?」
慌てて、周りを見渡す。そして目に止まったのは、先程の赤のナイトメアと、おそらくスザクが乗っているだろうナイトメア。そして、
赤のナイトメアの手の上に、その人物はいた。
「ゼロ……!」
それは、あまりにも出来すぎな偶然で、イレギュラーな出来事で。
そして。ある意味での幸運。
「…ナナリーには会えなかったようだね…」
おそらくはゼロの中身であろう人物にそう呟いて、スザクはナイトメアを動かした。
「……さ、!」
次の瞬間、紅蓮弐式の爪が、腕が、ナイトメアを切り裂いていた。
その光景を、ナナリーはアヴァロンのブリッジで見ていた。ロイドやセシルなども、息を呑んでいる。
「流石に、あのナイトメアだと手足のように扱うのは無理か…」
ただ、ハジメなどのスザク直属の部隊の人間は、平然とそれを見ていた。
「ハジメさん、スザクさんが…!」
「見ればわかります。ナナリー総督。…さて、あちらも流石に撤収したようですから、第一幕はこれまでと致しましょう…で、いいか?」
左右にいた同僚に不安げに問うそれに、問われた人物達は呆れたようにため息をついた。
「いいんじゃねぇ?」
「さっさと政庁にいこうぜ。ここでボケッとしてても時間の無駄だし」
「君達ねぇ…」
ロイドの呆れた声が響くが、ハジメ達は身を翻す。
「…変わらず、我々は任務を遂行するだけです」
ただの、ブリタニアのKMFだと思っていた。
しかし、破壊されたそれから落ちていくそのパイロットは、どこかで、否、一年間見なかった敵の顔で。姿で。
「スザク……?」
抵抗するような動きもなく海へと落ちていく様に、ゼロは、絶叫した。
「スザクゥゥゥゥ!!!」
ゼロの叫びを変えてみました。